Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

むすめえんじゅつし

娘煙術師

国枝 史郎

Lisez 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 267 766 caractères · 530 écrans

Aozora Bunko

たのだからな。……自分の屋敷か懇意な人の屋敷さ」眼の前に立っている屋敷の中へ、女煙術師がはいった時の、――そのはいり方の無造作だったことを、あらためて回想することによって武士の疑惑は深まったらしい。

「女煙術師も曲者らしいが、この屋敷も怪しく思われる」

で、しばらくは見まわしていた。屋敷内は寝静まっているらしい。人声もしなければ足音もしない。繁っている庭木の一所で、ねぐらをつくっていた雀でもあろうか、ひとしきり羽音が聞こえたが、それとてもすぐ止んでしまって、まったく物音が聞こえなくなった。

「いつまで眺めていたところで、別に得をすることもあるまい。思い切りよく帰るとしよう」

――で若い武士は立ち去ろうとしたが、立ち去ることはできなかった。

「印籠に未練がございますなら、お返しすることにいたしましょう」

潜り門の内側からの女の声が、悪戯ッ児らしい語調をもって、揶揄するように呼んだからである。

「ほう」という若い武士は、ちょっと度胆を抜かれたように、潜り門の前まで寄って行ったが、

「それではやはり拙者の印籠を、あなたにはおすりなされたので?」どうという訳ともなかったが、こんなような丁寧な言葉使いで若い武士は訊き返した。