Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

むすめえんじゅつし

娘煙術師

国枝 史郎

Lisez 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 267 766 caractères · 530 écrans

Aozora Bunko

怪しの屋敷

「いえこの私にこそ力強い後ろ楯ができましてござります」

「では」というと北条美作は、鷹揚に顎をしゃくったが、「今夜はこれで別れよう」

二人の供を従えると、シトシトと美作は足を運んだ。

「大大名や大旗本が、この本郷にはたくさんあるが『本郷の殿様』と一口にいえば、すぐにも北条美作のご前と、誰も彼もがいちように、納得するほどにも有名なお方だ。そのお方に俺が見いだされたのだ。世に出ることができるかも知れない」

大名屋敷の海鼠壁に添って、肩のあたりを月光に濡らして、二人の供に前後を守らせ、歩いて行く美作の背後姿が、曲がって見えなくなった時まで目送をしていた桃ノ井兵馬は、こうつぶやくと立ち上がった。「俺も寝倉へ帰るとしよう」

無人となった境地には、月光ばかりが零れていた。しかるにこのころ一人の武士が、下谷の町の一所に、腕を組みながらたたずんでいた。「こんなりっぱな屋敷の中へ、はいって行ったとは不思議でならない。たかが女の煙術師ではないか」――眼の前に宏壮な屋敷があったが、眺めながら考えているのであった。

怪しの屋敷

武士の眼の前にそびえている、宏壮な屋敷の構造は、大旗本の下屋敷ふうで、その正面には大門がありそれと並んで潜り門があり、土塀がグルリと取り巻いていた。