Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lisez 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 267 766 caractères · 530 écrans
京丸をさして
――といいいい老儒者は綴じ紙をたたむと、深く懐中へ入れた。
天龍川の水音が、秋晴れの空気を顫わせている。栗色の兎が草むらから出た。が、逃げようともしなかった。
「どのようなことが巻き奉書には、書かれているのでござりますか?」――ややあって紋也が慇懃に訊ねた。
京丸をさして
「存ぜぬ」と老儒者は言下に答えた。「手に入れることができなかったのだからな。ああそうだよ、巻き奉書を。……しかし推量をすることはできる」
「…………」紋也は無言で老儒者を見た。
「血判をした連判状であろうよ」
「…………」
「徳大寺卿をはじめとして京師の勤王の公卿方が、集められた衆人の血判状であろうよ」
「…………」
「とはいえ徳大寺公城卿は、尊きご身分でおわします。ご自身血判などされるはずはない。集められた衆人の血判状であろうよ」
「それを先生へもたらせました?」
「わからぬ」と老儒者はふたたびいった。
「が、これとても推量はできる。俺を引き出そうとされたのであろう。しかし俺としては出なかったであろうよ。たとえ巻き奉書がまいったところで」
「それは何ゆえでござりまするか?」
「宝暦の事件に懲りているから」