Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

Lisez 新・水滸伝 (しん・すいこでん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 684 899 caractères · 1374 écrans

Aozora Bunko

「いうな、たれが億劫だといった。ただ不便と感じただけのこと。よしよし、あす一日潔斎して、われ一人、天師の仙家へまかるであろう」

彼の意気たるや旺であった。その朝は、星の下に、水垢離をとり、白木綿の浄衣を着て、黄布のつつみを背中へ斜にかけて結んだ。内に宸筆の勅願をおさめたのだ。そして、銀の柄香炉を片手に、折々、香を焚いては、「六根清浄」を口にとなえ、身に寸鉄を帯びるでもなく、白木の山杖一ツを力に、あまたの道士に見送られて、上清宮を出立した。

――が、禁門軍の雄、洪大将ほどな男も、そこから奥の山ではまったくへばッた。第一夜は、樹海の底の谷川を枕として寝ね、第二夜は、斧の刃のような天空の峰で身を横たえた。しかも、ゆくての千峰は、まだまだ嶮しい。

やがて、降ればまた深い渓音水声、昼か夜かも、わからなくなっていた。猿になぶられ、狼に踵を嗅がれ、ただ蔦かずらの中の道標を捜しては、それをたよって行くしかない。やっと、太古の森林を出たと思うと、あ――と仰がれる絶壁だし、めぐれば、瀑布のしぶきに吹きとばされ、攀じれば、磊々の奇岩巨石に覗き下ろされる。

それのみか、彼は、牝雄二疋の大きな虎に出会って、あやうく、虎の餌食にされかけたり、この世にはありえぬような大蛇の鱗光に胆を消したりして、そのつど、無我夢中で逃げまろんだ。