Classiques japonais avec furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lisez 新・水滸伝 (しん・すいこでん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 684 899 caractères · 1374 écrans
――李逵は怒りに燃えた。――畜生っ、畜生っ、おれのおふくろをあんな啖ってしまやがった! ――。一躍、彼は野太刀の下に、その一匹を叩き斬り、次の一匹を、洞穴の奥まで追いつめて突き刺した。しかし、そこで怨みは癒えもしない。彼は慟哭し、なお、おふくろを呼びつつ、もがき泣いていた。
――と、洞穴の外で異様な唸り声がした。わが棲家のうちの怪しき気ぶりに鏡のような眼を研ぎすまして帰って来た小虎の親の牝だった。
「うぬ、おらのおっかあを、初めに、餌食の爪にかけたのは、この牝親だな」
李逵が息をつめていると、やがてのこと、牝は要心ぶかく、まずその尻ッ尾で洞壁を一ト払いしてから、徐々と後ろさがりに、奥へ躄りこんできた。――脇差を抜き、狙いすましていた彼の一閃はとたんに、大虎の肛門をグサと鍔元まで突き刺していた。せつな、ウオオッという吼え声とともに、牝の巨体は、その臓腑の中に短刀を入れたまま、ころげ出て草原をまろび、彼方の林へザッと躍り込んだ。それを逃がさじと、李逵は追ッかけ、林の全体も揺りうごくかと思われた。するとその時、
「あっ、べつな虎だ。また一匹出て来たぞ」
李逵は身を反らした。