Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

Lisez 新・水滸伝 (しん・すいこでん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 684 899 caractères · 1374 écrans

Aozora Bunko

弟の朱富は、ふふんと、辺りの顔から顔をあざ笑って、尻目にくれながら、

「おお、出かけよう。――が、待ちなよ、李逵」

「え。なんです」

「どうだ、まだ酒瓶の酒が余っているぜ。一杯ひっかけて行かねえか」

「とんでもねえ、そんな麻薬の入っているやつは、いくら俺でもまっ平ご免だ」

なるほど、すでにその麻薬の効き目だったのか。店の内や外、満地の兵たちはことごとく、ぶっ坐ったり横になったり、また或る者は、口から泡吹くをふいて、ただすこし手や足ばかりを海鼠のようにもがき合っているだけだった。

「ちッ……畜生。……謀ったな。や、やられたか」

ただ一人、こう叫んでは、起ちつ、また、こけまろびつ、必死に、あとを追おうとしていたのは、捕手頭の李雲一人だけだった。しかしすでに黄昏れそめた町の灯をかすめて、李逵、朱貴、朱富、若い者一群の姿ははや遠くのものになっていた。

町もここから先は一望の野原でしかない追分に、一ト叢の暗い夏木立の木蔭がある。そこに今朝から、家財を積んだ数輛の手押し車と、朱富の家族を乗せた箱馬車とが、心ぼそげに、待ち暮れていた。

「さあ、もう大丈夫だ。もう逃げるばかりだぞ」