Classiques japonais avec furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lisez 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 511 765 caractères · 1011 écrans
とたんに、その鋭い気合いが、術気をやぶったものか、鷹は、かーんと黄金板の音をだして、一直線に地上へ落ちていった。
「ウーム、しまった!」
多宝塔の上で、遠術の印をむすんでいた呂宋兵衛、あおじろい額から、タラタラと脂汗をながしたが、すぐ蛮語の呪文をとなえ、満口に妖気をふくみ入れて、フーと吹くと、はるかな、竹童と鷲の身辺だけが、薄墨をかけたように、円くぼかされてしまった。
はじめは、そのうす黒い妖気が、雲のように見えたがやがて、チラチラ銀光にくずれだしたのを見ると……数万数億の白い毒蝶。――打てども、はらえども、銀雲のように舞って、さすがの竹童も、これには弱りぬいた。同時に、さては何者か、妖気を放術してさまたげているにそういないと知ったから、かねて果心居士におしえられてあった破術遁明の急法をおこない、蝶群の一角をやぶって、無二無三に、鷲を飛ばそうとすると、クロは白蝶群の毒粉に眩暈て、翼を弱められ、クルクルと木の葉おとしに舞いおりた。
多宝塔の上から、それをながめた呂宋兵衛、してやったりとほくそ笑んで、塔のなかへ姿をかくしたが、まもなく金銀珠玉の寺宝をぬすみだして、庄屋の狛家へはこびこみ、野武士の残党どもに、酒蔵をやぶらせて、面にくい大酒宴。