Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Lisez 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 511 765 caractères · 1011 écrans

Aozora Bunko

咲耶子は、笛を帯にたばさんで、スルスルと白樺の梢から下りてしまった。

「や、ことによるときゃつも? ……」

忍剣は、さっき空井戸で打ちころした影武者を思いおこして、黒衣の襟がみをグイとつかんだ。と同時に、その顔をのぞきこんで龍太郎も、おもわず声をはずませて、

「はてな、呂宋兵衛は蛮人の血をまぜた、紅毛碧瞳の男であるはずだが、こりゃ、似ても似つかぬただの野武士だ、ウーム、さてはおのれ、影武者であったな」

「ええ、ざんねんッ」

怒気心頭にもえた巽小文治、朱柄の槍をとって、一閃に突きころし、いまあげた手柄名のりの手まえにも、当の本人を引っとらえずになるものかと、無二無三に崖上へのぼりかえした。

一足さきに、白樺を下りて追いすがった咲耶子は、いましも施無畏寺の境内へ、ツウとかくれこんでいった黒衣のかげをつけて、

「呂宋兵衛、呂宋兵衛」

と二声よんだ。

意外なところに、やさしい女の声音がひびいたので、

「なに?」

おもわず足を踏みとどめて、ギョロッと両眼をふり向けたのは、蛮衣に十字の念珠を頸にかけた怪人、まさしく、これぞ、正真正銘の和田呂宋兵衛その者だ。

「や、汝は根来小角の娘だな」