Classiques japonais avec furigana
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
Lisez 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 150 635 caractères · 306 écrans
いわゆる世に容れられない性格が、自然、世に対してそう云わせるものらしい。元来従順な典膳には、正直、師のそういう狷介なところには、好きになれないところもあった。
けれど彼は、ひとたび師と仰いだからにはと、そういう自分の性質に合わない点までも、常に、謹んで聞き、かりそめにも、それを以て、師を軽んじるようなことはなかった。
だが、兄弟子の善鬼となると、これは典膳のように、師その人にたいして、最初からの考えがちがっていた。
「おれは一刀流の印可さえもらえばいいんだ。一日もはやく奥伝をもらって、一人前の武芸者として立ちたい」
というのが偽りのない願望であるから、師の人格というものには二義的なものしか感じていないし求めてもいないのである。で、善鬼はよく蔭口をささやいて、
「典膳。おまえは余り固くなり過ぎるよ。師匠のはなしも、十年以上聞いていると、たいがい同じことを繰返しているのさ。酒の肴にはなすのだ。それをいちいち畏まって、貴様のように懼れ謹んで聴いていたひにはたまらないぞ」
と云ったりまた、
「師匠だって、聖人君子じゃない。あんな顔していても、以前はあれで女子にかけても、なかなか隅へ措けないところがあったものさ」