Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Lisez 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 150 635 caractères · 306 écrans

Aozora Bunko

九

六

典膳が、師一刀斎についた年は、弘く天下を観ると、ちょうど、羽柴秀吉の中国軍が、いまやその攻略に、酣なる頃だった。

間もなく、北方には、甲斐の武田の没落が伝えられ、その年、夏の初めには、突如として本能寺の変が起り、信長の死が、地殻の色をも革えるほど、大きく世上を愕かした。

「驕慢、恐るべしじゃ。信長もついに達人でない。剣道から観るに、本能寺の一夜は、まったく信長の油断にすぎん。一失の油断は、何から生じるか。……さ。そこじゃよ」

一刀斎は、例によって、世乱変転の相を、あたかも道中の山水風物と同視して、冷酷に批判する。浮沈興亡する英雄の道と、いま自分のあるいている道とは、まったく別箇のものとしているのである。

山崎の合戦、賤ヶ嶽、小牧の役、世潮はしぶきをあげて移り変ってゆく。しかもこの師弟のあるく道とその姿とは、七年たっても八年経っても変っていなかった。

典膳が師事してからまる九年め、師弟は九州を一巡し、四国を経、船で駿河につき、しばらくの後、江戸へはいって来た。

梅雨の不順な気候にあてられてか、伊藤一刀斎は、旅籠で病みついてしまった。そこへ駿府から徳川家の重臣が、彼の足跡をたずねて追って来た。