Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

Lisez 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 195 479 caractères · 394 écrans

Aozora Bunko

「お嬢様、お嬢様!」と追おうとしたが、あっ、君尾の姿が見えない。「むうう」とうなると可哀そうな文三、ベタベタとすわったものである。

そのころ君尾は林を抜け、草の斜面を走っていた。夜の山中、人はいない。なまじに声を立てたならかえって文三に目つけ出されるだろう。そこで無言でひた走った。二十日の月夜、ボッと明るく、森や林が立っている。灌木や叢が飛び散っている。身体がグタグタにつかれている。いまにもいきが絶えそうだ。だが休んではいられない、人里へ! 人里へ! 人里へ! 草がたけのびて走りにくい。で君尾は裾をからげた。すっかり着崩れた振り袖姿! 深紅の蹴出しがはぎに纒う。蹴出しから漏れる真っ白の脛! 人気がないので恥ずかしくもない。走りながら振り返ってみた。追って来ない、人影が見えぬ。君尾ドンドン走って行く。と、行く手に丘があった。塚のようにまるい小丘である。その丘を廻った時である。カッと火光が眼を射た。

「あっ」といって立ち止まった。数本のたいまつが燃えている。十数人の人が立っている。それは奇怪な光景であった。真ん中にノビノビと立っているのは紗の唐冠、白い道服、刺繍した履の老人で、口ひげはないが長いあごひげ、眉毛と共に卯の花のように白い。