Classiques japonais avec furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lisez 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 195 479 caractères · 394 écrans
活き傀儡
ご覧なされい、ご覧なされい」
おりから忙しいたそがれ時、宵闇が迫ろうとしていたが、上手な口上に人立ちがして、グルリと傀儡師をとりまいた。
「まず手はじめは文屋傀儡、六歌仙のその一人、つづいて小町を踊らせます」そこで傀儡師は唄い出した。
ヤンレ文屋の康秀は
業平朝臣と恋仇
小町の采女と焦がれたが
すると、バラバラと巴御殿から、二人の武士が現われた。
活き傀儡
巴御殿から出て来たのは、築土新吾と向こう傷のある武士――長崎左源太という武士であった。
「これこれなんだ、やかましい。立ってはいけない、散った散った!」
こういったのはその左源太。
「ほほう傀儡か、よかろう舞わせ」これは築土の言葉である。
「これはこれは旦那様、なにとぞなにとぞご覧くだされ。見るも法楽聞くも法楽、投げ銭蒔銭いりませぬ。お気に入ったらお手拍子、それで結構でございます。とはいえ食わなければなりません。そこで前からお約束、傀儡首尾よく舞いましょうなら、たんとはいらない一文ずつ、傀儡へお投げくださいまし。……さあさあ舞ったり文屋殿。恋の一念野を越えて、くくり袴に露をかけ、まゆずみさえも汗なれや、小町へ通って行くところ、折しも初夏の夕まぐれ、おぼつかなげの藤の花、それさえ涙の種となる。