Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

Lisez 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 195 479 caractères · 394 écrans

Aozora Bunko

先頭に立ったは六十年輩、夜のことで顔はわからないが、たけ高く腰据わり、ガッシリとした肉づきなど、威風の備わった老人で、これが一隊の頭らしかった。その後から駕籠が来たが、こればかりはみやびていて、貴族の用いそうな駕籠であった。しかしどうやら空駕籠と見え、さも軽そうにかついでいた。

「や、ここに怪我人がいる」「しかも立派なおさむらいさんだ」「ひどく藪の中が騒がしい」「火の手が見える。火事かもしれない」などと口々に囁き合った。すると例の老人だが、初めは笑止らしくいったものである。

「大事の前のこれは小事だ。お気の毒だがこのおさむらいさん、介抱してやるひまがない。さあ野郎ども、急いでゆけ」――で一隊動きだしたが、突然その時広太郎が、

「杉窪の里、銅兵衛殿、必ず君尾殿をお助け致す!」

君尾の姿を見たことによって、責任感を呼び起こしたのであろう。譫言ながらに叫んだものである。そうしてこれが広太郎の運命を、俄然一変させたのである。というのは例の老人だが、

「とまれ!」といって号令をかけると、スタスタと後へ引っ返して来た。

「おかしいなあ。このおさむらいさん、銅兵衛殿を知っているらしい。