Classiques japonais avec furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lisez 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 195 479 caractères · 394 écrans
愉快の書面
「お京様をご存知ではありますまいか?」
「存じませんでございます。……君尾様をご存知ではございますまいか?」
「存じませんでございます」
臼井金弥と文三である。またパッタリ逢ったらしい。今だに探しているらしい。よろしい。探せ三十年も! だが絶対に目付かるまい。
愉快の書面
「お父上、書面が参りました」
こういったのは舞二郎。
「なに、書面、どこからだな?」
こうきいたのは平左衛門。
小松原家の裏座敷、庭に夏の陽があたっている。
「珍しい人からでございます。飛脚が持って参りました。袴広太郎殿とお京との連署で……」
「なるほど、珍しい。どれ拝見」
父子二人の眼の前へ、一通の書面がひらかれた。
「おなつかしいお父上様お兄上様」お京の書面にはこう書いてあった。「紀州大納言家の妾腹の姫、それが本当かも知れません。でも妾はどこまでも、小松原家の娘でございます。その方がうれしいのでございます。おなつかしいお父上様お兄様! でも妾はただ今では、木地師の娘でございます。そうしてそれが妾には、決して不幸ではございません。妾は大変かわりました。たっしゃになったのでございます。高い山の上に住んでおります。