Classiques japonais avec furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lisez 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 104 139 caractères · 208 écrans
新奇談クラブ
名人大六雲鼎
持ち込んだ華魁人形
名人大六雲鼎
「人形の首を梟した、――という話、気味は悪いが、充分に面白い積りです」
第六番目に立った話の選手大滝左馬太は、奇談クラブの談話室で、斯う話し始めました。
「これも今の世の事ではありません。天保十一年の晩春、十一代将軍家斉の治下で、江戸の風物は熟れた果物のように、甘酢ぱく頽廃し切った時のこと、私の為には流祖、人形師としては、古今の名人と言われた松本鯛六――一名大六雲鼎は、鑿一挺で大変なものを拵えてしまったのです。これはとても小説になるような話ではありませんが、その代り事実は小説よりも奇なりで、こんな馬鹿馬鹿しい話は、小説家の頭ではとても考え出されません。名人大六雲鼎や、華魁小紫の霊を慰める為に、是非聴いてやって下さい」
大滝左馬太は斯んな調子で始めて行きます。
持ち込んだ華魁人形
「親分」
「何んだ、八」
「人形を見て下さいって男が来ましたぜ」
「何?」
柳原の顔役、左衛門の長次は拱いた腕を解いて、その分別臭い顔を挙げました。
「両国の活人形に一枚差し加えて下さるまいかてんでさ、恐ろしく丁寧な口をききますが、お貰いのような野郎ですぜ、免倒臭かったら断ってしまいましょうか」