Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

Lisez 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 104 139 caractères · 208 écrans

Aozora Bunko

土蔵の中に男女の争い

土蔵の中に男女の争い

上州屋の裏には、土一升金一升の場所柄も構わず、土蔵と土蔵との間に挟まれて、数寄を凝した六畳ほどの離室があります。もう真夜中近い時分でしょう。襖紙を開けて、いそいそと入って来たのは、主人の佐吉、まだ二十四、五の若々しい年輩で古渡り唐桟の袷に紺博多の帯、月代の跡青々と、下っ膨れのおっとりとした美男です。

と、見ると、床の側に置いた、華魁人形の箱は、蓋をハネ退けられて、中は空っぽ、

「あッ」

思わず顔色を変えて立ち縮みました。

千金を積んで漸く手に入れた稀代の人形、これが無くなっては、佐吉は生命が無くなったも同様です。

話は少し遡りますが、此の人形を手に入れてからの佐吉の様子は、全く正気の沙汰とも思えませんでした。離室の床の側に飾って、間がな隙がな、其処へ入り込んでは、飽くことも知らず人形と戯れて居るのです。

或る時は座敷の中ほどに坐らせて茶を立てました。或る時は酒肴を用意して、人形と差し向いに、差しつ押えつ、不思議な酒宴に夜を徹しました。或る時は小唄音曲を人形に聴かせ、或る時は鴛鴦の如く押し並んで、喃々と語り明かしました。

人形の頬と、佐吉の頬とが触れ合うばかりに、二人は膝を交えて囁き交す風情の妖しさ美しさ、偶々悪戯心に差し覗く丁稚小僧などは、あまりの事に気も遠くなったり、声を立てたりし