Classiques japonais avec furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lisez 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 104 139 caractères · 208 écrans
です。
「あっ、これは蛇使いの見世物ではないか」
「それが何うした」
「風が悪いな」
「此の節は木戸銭を払わない武士が多くなるということだが、風が悪いと言うのは、そんな手合のことだ、俺はそんな事は嫌いだ」
言う事が一々皮肉です。
十二文の木戸を払って、仕様事なしに入って見ると、中は土間に荒筵を敷いた、急造の小屋で、実に惨憺たる有様ですが、両国では人気のある興行物と見えて、相当に人間は入って居ります。
蛇使いの見世物――これは維新後の取締規則で、すっかり影を没してしまいましたが、轆轤首、鳥娘、などと共に、娘形を主人公にした見世物では大関格で、特にその時両国へ小屋を掛けて居た金之丞一座は物凄い当りでした。
暫らく馬鹿な前芸を見て居ると、左馬之助も年が若いだけにどうやら小屋の中の不思議な空気に同化したような心持になって行きます。
やがて舞台に現れたのは、頭のでっかい一寸法師の道化、
「東西、いよいよこれよりは、一座の花形、錦太夫の蛇使いと御座います。蛇使いと申しても、蚯蚓のような蛇を、怖々使うザラの蛇使いと違って、これは黒髪山の奥に、蛇と一緒に育った娘、大小数百条の蛇を、我が子のように使いこなす、世にも不思議な芸当に御座います。