Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

むすめえんじゅつし

娘煙術師

国枝 史郎

Lisez 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 267 766 caractères · 530 écrans

Aozora Bunko

「のがしてなろうか! 取り返さないでおこうか!」――で、金兵衛はひた走った。

しかし勇気は勇気であり、躯の衰弱は衰弱であった。左に神田川の流れを持ち、右に町家の家並みを持った、月に明るい佐久間町の往来を、前へのめったり後へよろけたり、下げている抜き身を杖のように突いたり、そうかと思うと肩へかついだりして、走って行く金兵衛の姿というものは、凄惨というよりも滑稽であり、恐ろしいというよりも道化ていた。身長が人並みよりきわ立って低く、頭が人並みよりとりわけ大きく、侏儒か佝僂かを想わせた。そういう金兵衛がそういったようすで、あえぎあえぎ走って行くのである。で、もし人が前から来て、金兵衛を見たならばこう思うであろう。

「玩具の刀を偉そうに持って、縹緻の悪い卑しい家の子供が、こんな夜中に悪戯をしている」と。しかし本人の金兵衛にとっては悪戯どころの騒ぎではなかった。命がけの真剣な働きなのであった。と、かついでいた抜き身を下げると、だるそうに地上へ突き立てたが、もたれかかったら刀身が折れよう、で、縋るように身を寄せると、金兵衛は足を止めて右のほうを睨んだ。そこに一筋の露路があって、犬の吠え声がしたからであった。