Classiques japonais avec furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lisez 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) de 小酒井 不木 (こざかいふぼく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 140 caractères · 396 écrans
彼女は幾分頬がこけて居たが、そのため却って美しさを増した。
静也は、眼を泣きはらした顔を想像して居たのであるから、彼女のこの言葉に頗る面喰って、何といってよいかに迷った。
「今晩、女中は居りませんの、ゆっくり遊んでいらしてもよいでしょう、御上りなさい」
こう言って彼女は、あかるく電灯に照された応接室へ、静也を引摺るようにして案内した。静也は籐椅子に腰を下し、手巾で汗をふいてから、
「時に……」
と、いいかけると、彼女はそれを遮って言った。
「御くやみを述べて下さるのでしょう。有難いですわ。でも、人間の運命というものはわからぬものですね、佐々木はあの夜、あなたと一しょにレストオランへ行って、同じものを食べながら、あなただけは、このように無事なのですもの……」
敏子が静也の顔を見つめたので、静也はあわてて、まぶしそうに眼たたきをした。敏子は更に言葉を続けた。
「佐々木はあの夜家に帰るなり、はげしい吐瀉を始めて三時間たたぬうちに死にましたわ。まるで夢のようねえ」
「本当にそうです」と静也ははじめて口をきくことが出来た。「あのあくる日、気になったものですから、こちらを御訪ねすると、佐々木君が死んだときいてびっくりしました。