Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

Lisez 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) de 小酒井 不木 (こざかいふぼく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 140 caractères · 396 écrans

Aozora Bunko

二

「それでは解剖に附しましょうか?」

「その方がよいでしょう」

警部は水野刑事に向って、電話で、検事局への手続や、死体運搬の手順などを行うよう命令し、医師と共に、死体のポケットの中のものを検べたり、ボタンをはずして、身体の表面をあらためたが、別にこれというものを発見しなかった。やがて警部は死体のズボンのポケットにあった鍵束をはずし、それを朝井刑事に渡しながら言った。

「これで、机や金庫を一応しらべて呉れたまえ」

「窃盗の有無を見るのですか」

「窃盗とは考えられぬが、とにかく珍しいものがあったらそういってくれたまえ」

二

その時、水野刑事は、四十ばかりの洋服の男を伴ってはいって来た。刑事は銀座の店の番頭をしている鈴木という人だと言って紹介した。

「いや、書生さんから電話がかかったときは夢でないかと驚きました」と番頭は言った。

「昨晩大原さんはお店を何時ごろ出られたでしょうか」

「十時ごろだったろうと思います」

「いつもそんなに遅くなりますか」

「いいえ、昨日は特別に仕事が沢山あったのです」

「大原さんは一人で店を出られましたか?」

「女の店員と一しょでした」

「何という名ですか?」