Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

Lisez 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) de 小酒井 不木 (こざかいふぼく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 140 caractères · 396 écrans

Aozora Bunko

按摩

コホン、コホンと老按摩は彼の肩を揉みながら、彼の吸う煙草の煙にむせんで顔をしかめた。少し仰向き加減に、首と右肩との角度を六十度ぐらいにして居るところを見ると、生れつきの盲人であるらしい。

郊外の冬の夜は静である。

「旦那はずいぶん煙草ずきですねえ。三十分たたぬうちに十本あまりも召し上ったようですねえ」

と、彼は狡猾そうな笑いを浮べて言った。

「うむ。俺はニコチン中毒にかかったんで、身体中の肉がこわばってどうにもならぬから、按摩が通るたびに呼びこまずには居れんのだ。何とかしてこのニコチン中毒は治らぬものかなあ」と彼は中年のニコチン中毒患者に特有な蒼白い顔をして、でも巻煙草を口から離さずに言った。

「そりゃ旦那、眼をつぶすに限りますよ」

「ええッ? 何?」と彼は、わが耳を疑うかのように、暫らく巻煙草を口から離して按摩の返答を待った。

「両方の眼をつぶして盲人になるんですよ。眼をつぶせば、あの恐しいモルヒネ中毒さえなおるのですもの、ニコチン中毒ぐらいは訳もなくなおると思うのです」

彼は背筋にひやりとするような感じを起した。

「お前はその経験があるとでもいうのか?」