Classiques japonais avec furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lisez 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) de 小酒井 不木 (こざかいふぼく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 140 caractères · 396 écrans
四
二人は別々に連れられて来て、別々の室に待たせてあると、水野刑事は語った。中島せい子は今日は気分が悪いのでお店を休むつもりであったと語ったそうであるが、谷村もまた頭痛をこらえていやいやながら出頭したそうである。霧原警部は先ず中島せい子を連れて来させた。
四
連れられてはいって来た女は、二十一二歳の色の白い、いわば「妖艶」と形容すべき断髪姿であった。霧原警部と朝井刑事とは、思わず顔を見合せた。恐らく二人の想像した女とちがって居たからであろう。彼女は霧原警部の訊問にはっきり答えたが、何となくおずおずして落ちつかぬところがあった。
「昨夜あなたは大原さんと一しょに店を出られたそうですね?」
「はあ」
「それから大原さんのお宅へ一しょに行かれたでしょう?」
「いえ、途中で別れました」
「何処で別れましたか?」
「大原さんは銀座の星村薬局へ寄られましたので、私はそこでお別れして、それからF館の活動写真を見て帰りました」
警部はじっと彼女の顔を見つめて言った。
「何故あなたはおかくしになるのです?」
「かくしは致しません」
「でも、あなたが大原さんのところへ行かれた証拠があります」