Classiques japonais avec furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lisez 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) de 小酒井 不木 (こざかいふぼく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 140 caractères · 396 écrans
三
「君が家宅捜索を行っても女の居た形跡は少しもなかったのだね?」
「ありませんでした」
「ではもう一ぺん捜して来てくれたまえ」こういってから警部は小声になって何事をか命ずると、朝井刑事の顔は急にあかるくなった。朝井刑事が出かけようとすると、
「ああ一寸」と警部は呼びとめて言った。「君たちは鬼頭をつれてくるときに、誰が殺されたかということを話さなかっただろうね?」
「その点は部下のものにも、よく注意して置きました」
三
霧原庄三郎氏は朝井刑事が去ってから、椅子にもたれて、眼をつぶりながら、深く考えこんだ。
氏はその主義として、機の熟しない先の訊問の際には、出来るだけ、相手の急所に触れぬように注意した。犯人を訊問するのは、ちょうど、医学上の免疫現象と同じようなものだと氏は考えて居るのである。例えば実験動物に致死量の毒素を注射すれば、動物はたおれるけれど、若しその致死量を二分して、時日を隔てて二回に注射するときは、動物は死なないばかりか、三度目に致死量を一時に注射してももはや動物は死なないのである。それと同じように、犯人の訊問の際にも、はじめに犯人を自白せしむるに足るだけの言葉を発すればよいものの、さもなくて、チョイチョイ犯人の急所に触れるような言葉を発するときは、犯人はただ警戒するだけであって、最後に急所を抉るような言葉