Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lisez 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) de 小酒井 不木 (こざかいふぼく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 140 caractères · 396 écrans
五
花婿の良雄も常になく沈んで見えた。母家の方からは、出入りのもののさんざめく声が頻りに聞えた。
いよいよ三々九度の段取りとなった。雌蝶雄蝶の酒器は親戚の二人の少女によって運ばれた。仲人夫婦と花嫁と花婿。四人の顔には緊張の色が漲った。やがて花嫁の前に盃が運ばれた。花嫁は顫える手をもって盃を取り上げた。酒は少女によって軽く注がれた。と、その時のことである。
ポタリ! 天井から一滴、赤い液体が盃の中に落ちて、パッと盃一杯に拡がった。ハッと思う途端に続いて又一滴、ポタリと赤い液体が盃の中に落ちて来た。
ヒャッ! と物凄い叫び声をあげて花嫁が盃をとり落すと、その時、天井から続けざまに数滴の赤い液体が滴って、花嫁の晴着に、時ならぬ紅葉を描いた。
これを見た花嫁はウーンと唸って、その場に気絶してしまった。
五
それから、良雄の家にどんな騒動が持ち上ったかは読者の想像に任せて置こう。花嫁はとりあえず別室に寝かされ、附近の町からよばれた医者の応急手当を受けて、一時は蘇生したが、その夜から高熱を発して起き上ることが出来なくなった。
花嫁の盃の中に天井から滴った赤い液体は、いう迄もなく血液であった。