Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

Lisez 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) de 小酒井 不木 (こざかいふぼく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 140 caractères · 396 écrans

Aozora Bunko

それから朝になると、人殺し騒ぎが始まりましたので、さては私はあの老人が、大平さんを殺したのだろうと思いました」

「それでお前はそのことを警察の人に告げなかったか」

「はい、かかり合いになるのが恐ろしいですから、黙って居りました」

「その老人はどんな風采をして居たかね」

「さあ、それは暗いのでよくわかりませんが、実はその老人が、頻りに捜して居たものを、私が見つけたので御座います」

「ええっ?」

「たしかに、老人は捜し損なって行ったと思いましたから、今朝、まだお隣りの婆やさんが戻って来ない先に、悪いこととは知りながら、そっとお隣りの庭の上をさがしたのです。そうしたら、苔の間に、木片の陰になって落ちて居たのです」

「それは何だったかね」

お豊は暫く躊躇して居たが、

「私が拾ったということさえ、黙って居て下されば御渡し致します」

「黙って居るとも」

「あなた自身で、御拾いになったことにして下さい」

「ああ、そうしよう。で、お前は、その品をここに持って居るのか」

「持って居ます」

お豊は袂に手をやった。康雄は全身の血が好奇心のためにかたまるかと思うほど、興奮しながらお豊の取り出すのを待ちかまえた。