Classiques japonais avec furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lisez 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) de 小酒井 不木 (こざかいふぼく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 140 caractères · 396 écrans
とりあえず彼は彼女の傍に腰掛けたが、心臓の鼓動が急に高まって、呼吸が促迫しはじめた。取り乱すまいと思えば思うほど、胸は高鳴りを増すだけであった。
が、彼のこの苦境を、彼女は早くも見て取って、それを救うべく声をかけた。
「本当に今回は色々御迷惑をかけてすみません」
その声が、至って晴々しかったので、康雄は急に嬉しくなり、言葉が咽喉から迸るように出た。
「迷惑どころか、私はあなたの為ならどんなことでも為ようと思って居ます。私がこうして素人探偵を志願したのも、いわばあなたの無罪を証拠立てようと思ったからです。ところで、私のこの希望は幸いにも叶いかけました。というのは、先刻、あなたの一昨夜お訪ねになった大平家の捜索に行きましたところ、幸いにも、真犯人を捜る手がかりとなる品を見つけたのですから。一刻も早くこれをあなたにお話しして安心してもらおうと、とりあえずこちらへ駈けつけたのです」
「まあ、何という御親切でしょう。で、その手がかりというのは何で御座いますか」
彼女は今までとは打って変った熱心な態度となった。「手がかり」という言葉が恐らく彼女の好奇心を刺戟したのであろう。