Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lisez 新・水滸伝 (しん・すいこでん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 684 899 caractères · 1374 écrans
ただ星のまたたきだけが、一個の黒い怪しい物の行動を見せていた。
その時遷の影も、いつのまにか、木の上にはない。枝から枝を這って、屋根へへばりつき、そこの二階の破風を壊して、もう天井裏にいたのである。
耳を澄ます。あるじの徐寧らしき人の声がする。妻、女中。階下と階上とを行き交う足音。どうもここの家族は夜更かしらしい。
「はてな? いまから飯の支度などいいつけているぞ」
時遷。こいつはおかしいと、考え直した。今夜は瀬ぶみ、どっちみち二晩三晩は、通うつもりでいたのだが、家族はこれから寝るのでなく、いま起きたような様子なのだ。……としたら、ひょッとして、今夜が機会になるかもしれない。さきの不運、こっちの天運と、時遷はなおも息をこらし、天井裏を注意ぶかく、撫で、這い、そして隙間をさがして覗いてみると、
「……ふ、ふ、ふ。……あるぜ、あるぜ。朱革の鎧櫃が、ちゃんと、天井に吊ッてあら。帰命頂来、鼻の先だよ」
と、思わず北叟笑みして、天性の一種声なき快感にくすぐられていた。
「おや? ……」と、下では夫妻が天井を見上げ。
「なんだろ? へんにゴソゴソしなかったかい」
「いいえ、べつに、……鼠でしょう」