Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lisez 新・水滸伝 (しん・すいこでん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 684 899 caractères · 1374 écrans
「……いいわ、もう。知らないわ、わたし」
と、妓は拗ねる。
絃の音に更けた新道の路次の一軒。夕方から飲みはじめて、すでに安道全先生は、海鼠のようになっていた。
ここは李巧奴の妓家で、通い馴れてもいるらしい。口説、いろいろあって、先生はひそかにうれしくもあり、持て余し気味でもあった。
「おい、巧奴、どうしたんだよ、飲まないのか」
「知りませんよ。どうせわたしなんか、あんたにとって、何でもない女なんだから」
「なにをいうのじゃ。山東といったって、一ト月か、ふた月の旅。すぐ帰って来るからと言ってるんじゃないか。さ……きげんを直して、きげんよく立たせてくれ。心にもない女なら、なにもわざわざ別れになど来やせんよ」
「じゃあ、山東行きなんか、お止めになったらどうなの」
「それができるくらいなら、何も苦労は」
「……おや、まあ」
と、巧奴はこのとき、座敷のすみの一卓に、独りぼっちで飲んでいた男の方へ、その流し目をジロとやって、
「忘れていた。そこにはお差合いの人がいたのね。もし、お連れさんえ」
「なんだい」と、張順は空嘯ぶいて、ニヤニヤ笑う。
「ご親切ね、あなたは。人の心を知らないで、うちの先生を、一ト月もふた月も、遠いところへ、ご案内して下さるなんて」