Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lisez 新・水滸伝 (しん・すいこでん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 684 899 caractères · 1374 écrans
ところで、これはやや宵の口に入ってからのこと。
おなじく梁山泊の一員で、元来、貴人の風格のある例の小旋風柴進は、衣冠帯剣の身なりで、九紋龍史進と浪子燕青のふたりを供人に仕立て、大名府の小路の角に、さっきから、かなり長いことたたずんでいた。
折ふし、この夕、華やかに扮装った鉄騎五百人と軍楽隊との“元宵の行列”にまもられて城中の“初春の宴”から退がってきた梁中書の通過を、男女の見物人とともに見送っていたものらしいが、やがて群集が崩れ散ると、早足に、管領庁の門を、颯爽として入って行った。
「…………」
はっと、門衛はそれに敬礼した。
怪しむにも怪しみえない大官と見えたものにちがいない。
だが、庁内もずんと奥の、大牢門と呼ぶ獄界の境まで来ると、ここではふとスレちがった男が、
「おやっ?」
と、巨眼を光らして、振返った。
柴進も、ぎょっとして立ちどまる。が、それは死刑囚あずかりの押牢使蔡福だった。――かねてこの蔡福、蔡慶の兄弟には、その私宅で柴進から莫大な砂金が賄賂されていたことである。――蔡福はジッと相手を睨まえてはいたが、
「…………」
何もいわない。
いや、黙って行ってしまったばかりでなく、足もとへ何かチンと落として去った。