Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lisez 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 511 765 caractères · 1011 écrans
今はまったく袋のねずみとなって、西へも東へもでる道はない。
ゆうべは、裾野の青すすきをふすまとして寝、けさはまだ霧の深いころから、どこへというあてもなく、とぼとぼと歩きだした。やがてその日もまた夕暮れになってひとつの大きな湖水のほとりへでた。
このへんは、富士の五湖といわれて、湖水の多いところだった。みると汀にちかく、白旗の宮と額をあげた小さな祠があった。
「白旗の宮? ……」と忍剣は見あげて、
「オオ、甲斐も源氏、白旗といえば、これは縁のある祠です。若さましばらく、ここでやすんでまいりましょうに……」
と、縁へ腰をおろした。
「いや、わしは身軽でつかれはしない。おまえこそ、その鎧櫃をしょっているので、ながい道には、くたびれがますであろう」
「なんの、これしきの物は、忍剣の骨にこたえはいたしませぬ。ただ、大せつなご宝物ですから、まんいちのことがあってはならぬと、その気づかいだけです」
「そうじゃ。わしは、この湖水をみて思いついた」
「なんでござりますか」
「こうして、その櫃をしょって歩くうちに、もし敵の目にかかって、奪われたらもう取りかえしがつかぬ」
「それこそ、この忍剣としても、生きてはおられませぬ」