Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 141 130 caractères · 288 écrans
「覚えはないぞ」
「言うな、卑怯者ッ」
床几を廻って、ともすれば右之助に飛びかかろうとするのは、きのう銭箱騒ぎを起した娘、――鞍掛宇八郎の娘お京です。たった十八、色の浅黒さも、眼の涼しさも、野の花を剪って来たような純な少女ですが、父親の無残な死骸を見ると、一も二もなく、砧右之助を敵と思い込んだのでしょう。ガラッ八も先刻そんな事を考えたくらいですから、咄嗟の間には、まことに起りそうな間違いでした。
「違う、お嬢さん、敵違いだ」
平次は二人の間に割って入りました。
「言うな」
少しあせったお京、――蒼い顔、閃く匕首、赤い帯。
「鞍掛様を騙し討ちにした曲者は、――仔細あってこの平次が見破った。八、逃げ場逃げ場を塞げ」
「おッ」
ガラッ八は下っ引と手をわけて、茶店を遠巻に、グルリと円陣を描きました。
「今ぞ、御教え申しましょう。昨夜、鳴川留之丞を討ったのは、間違いなく鞍掛宇八郎様。鞍掛様を騙し討ちにして、絵図面と一緒に隠してあった、土竈の金を盗み出したのは、その弁次郎に相違はないッ、――横網の二階にいて、一と晩独り言を言っていた、その相吉も敵の片割れ」
「な、何を言う。