Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 137 868 caractères · 278 écrans
女房を迎える暇もないような忙しい遊蕩――そんな出鱈目な遊びの揚句は、世間並みな最後の幕へ押し流されて来たのです。
手っ取り早く言えば、磯屋にはもう一両の金も無くなっていたのです。家も、屋敷も、商品も、二重にも三重にも抵当に入って、この盆には、素っ裸で抛り出されるか、首でも縊るより外に、貫兵衛の行く場所はなかったのでした。
「そうなると、女どもは皆んな私から離れてしまいました。お蔦も、おりんも、お袖も、――それから私を十年越し喰い物にしていた遊び仲間も、蔭へ廻って私の悪口を言うようになりました。何千両となく取込んだ義弟の菊次郎も、巴屋の七平も、江崎屋の清五郎も、私の顔を見て、近頃はもう昔のようにお世辞笑いをしなくなったばかりでなく、わざと私に聞えるように、私の悪口をさえ言うようになったのです」
貫兵衛の話の馬鹿馬鹿しさ、ガラッ八の八五郎さえ、我慢がなり兼ねてときどき膝を叩きますが、銭形平次は世にも神妙に構えて、
「それから」
静かに次を促します。
「私は一期の思い出に皆んなを馬鹿にしてやろうと思いました。昔金に飽かして手に入れた、笑い茸の粉を和蘭渡りの赤酒に入れて、皆んなに一杯ずつ呑ませ、あらん限りの馬鹿な顔をさせてみるつもりだったのです」