Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
Lisez 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 150 635 caractères · 306 écrans
もう平常の師弟の礼も逸脱している。典膳は、これは困った喧嘩であると眉をひそめた。
病後の一刀斎の声にも、すこし癇癖が加わっていた。駄々ッ子を叱る父のように、
「たわけ者がッ」と、つよく叱咤し、
「どこが悪いか、ひとに訊かねばわからぬほど、そち自身の愚鈍が、まだ気づかぬか。それも見えぬものに、何で、真の剣が観えよう、一刀流の極意の印可など、沙汰のかぎりである、断じて、そちにはまだ許せない」
「ゆるしてくれないものなら、仕方がないと、諦めもしよう。だが、この善鬼よりずっと後に弟子入りした典膳にそれを譲るから、左様心得ろ、口惜しくば、もっと励め、とは一体なんという無慈悲無情なおことばだ。弟子を愛すのが師ではないか、その弟子を、もう十九年も仕えている弟子に、こんな酷い想いをさせてもよいのですかっ」
「やかましい。そちのいうことは、いちいち理に外れておる。まるで痴人の喚きだ」
「なに。痴人だと。どうせわしは痴人でござる。それ故、徳川家へも、典膳を御推挙になったのでしょうが、それでは、この善鬼、兄弟子として、世上へ面が立ちません。痴者には痴者の一念がありますからそう思ってください」