Classiques japonais avec furigana
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
Lisez 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 150 635 caractères · 306 écrans
とのことだった。
それはかなり確実そうな消息だったので、山名時氏は、小四郎綱高を憎む前に、親の漆間蔵六に、
「ていよく子を渡して、敵へ内通しておるのではないか」
と、疑いの目を向けた。
次の合戦には、漆間蔵六も、小綱の兄や従兄弟たちも、戦士の籍から除外されていた。
蔵六は、侍の最大な不名誉「嗤われ者」の汚名を、どうして拭おうかを、必死で考えたあげく、
「そうだ。小綱の首を切って来て、一門の潔白を示そう。また、小綱に考えがあってのことなら、力を協せて、敵地の子を救い、共に脱走して京都へ帰ろう」
と決心して来たものであった。
四
十二月の二十日頃である。
正平二年の歳も押しつまってきたが、戦雲はいよいよけわしい。正行が陣頭に立ってから、前後二度の大戦に敗れた尊氏は、それまでに味方のうちに、
――多門兵衛正成が再来よ。
と、正行を怖るる声があっても、何の、まだ弱冠の小児がと、見くびっていたが、ここ敗報しきりとなって、ようやく、
「これは、嫩葉のうちに、摘んでおかぬと」
と、遽に大規模な作戦を立て、高師直、師泰を総帥とする、二十余ヵ国の兵六万をもって、東条、赤坂の攻略に大挙さしむけた。