Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lisez 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 104 139 caractères · 208 écrans
「丈太郎様、仰しゃって下さいませ、もう誰も聞いては居りません」
女は少し涙声になります。
お園と言って十九の厄年、今は太田淡路守様の隠居、英山公の手許に腰元奉公をして居りますが、丈太郎とは従兄妹同志、生れ落ちるからの許嫁で、二十歳になったら一緒にと、親達の間で極められた二人の運命だったのです。
丈太郎は江戸前の優れた美男、お園は咲き切った花のような美しい娘、二人の心の中には、年と共に育って行く恋心が、今は抜きも枯らしもならぬほどになって居りました。両親も財産も喪くしてしまった裸一貫の丈太郎ですが、この二人の間を割くほどの強い力は「死」より外にはありません。幸せなことにお園の両親は、それが解らないほどの人達ではありませんでした。
今日は御隠居英山公の代参を仰せ付かり、手筥まで預って目黒の不動様に詣でたお園が、フトした事から、許嫁丈太郎の危難を救いましたが、浅葱の手拭を頬冠りにして、汚ないねんねこの下に、赤い頭巾を冠せた、仏体をおんぶした恰好や、同心、目明しの輩に追い詰められた丈太郎の様子が容易ではありません。兎に角、頭から裲襠を被せて、女乗物の中に押し込み、英山公から預った、三つ葉葵散らしの手筥を持たせて、相沢半助の眼は胡麻化しましたものの、どうしても胡麻化し切れないのは、お園自身の心のうちだったのです。