Classiques japonais avec furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lisez 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 104 139 caractères · 208 écrans
その内に、崇巌院に出入する程の人達から、此の頃女修験者の梅仙女は、若い武士と眼に余る淫楽に耽って、祈祷も禁呪もろくにしてくれないという噂が伝わりました。お夏は身内を掻きむしらるる思いですが、元々自分の不覚から起った事と信じ切って居るだけに、それを何うしようと言う心も起りません。
第六天町に居る父親、坂本佐市老人のところへ訴えたところで、あの調子では、手討にすると言って脅かされるのが精々でしょう。
当惑し切ったお夏は、毎晩毎晩空閨を守り乍ら、居ても立っても居られない恐ろしい焦躁に痩せ細るばかりでした。
フト思い出したのは、五年前に死んだ母親のことでした。
「万一お前の思慮に余る大難が起った場合には、これをソッと開けて見るがよい、きっとお前に好い智慧を授けて下さるものが中に入って居るが、その代り、決して決して人に見せてはならぬぞ」と臨終の床で渡された小さい手筐があります。
箪笥の奥から取り出して見ると、朱の打紐で厳重に結んだ上に物々しく封印までしてありますが、女の身として、今より思慮に余る大難があろうとも思われません。思い切って封を破って蓋を払って見ると、中から出て来たのは、銀の十字架と、半紙を二、三十枚綴じた本が一冊、これはポルトガル語を仮名にして書いた祈祷書で、その第一頁目を開くと、