Classiques japonais avec furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lisez 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 104 139 caractères · 208 écrans
この花枝という娘の可愛らしさは全く法外で、健康と幸福とを、エマナチオンのように放散して歩くのではないかと思うほどです、円ぽちゃの、少し仰向いた鼻、ポッチリ描いたような唇、生理的に微笑を絶やさないような豊かな頬、滴る大きい黒瞳、弾力的な美しい肢体――、すべてが近代人に取って限りない魅惑です。
私はこの五人の男女に、五つの美しい花弁を持った、醜い蕊のように取り囲まれて居りました。
それにしても、この客間の美しさは何うでしょう、飾電灯や英国製の絨毯や、波斯の壁掛けの華やかさに驚いたわけではありません。この近代ルネッサンス風の、ドッシリした造りや装飾や家具や、一毫の破綻も示さない、完成された趣味性は、大抵の贅沢は見て来た私も、全く兜を脱がされて了います。
大きい安楽椅子に凭れて、五人を相手に、私は何んと言うヘマな主人振りだったでしょう。私の名は「秀麿」ということだけはわかりましたが、姓も身分も、此の屋敷の町名番地も知らないのですから、どんなに横着気を発揮しても、橋の下で仲間の乞食と馬鹿話をする時のようなわけには行きません。
芝居の話、美術の話、音楽の話、西洋の話、有名な貴族達の話――と後から後からと湧いて来る話題を、適当にさばいて行く為に、私はどんなに骨折ったことでしょう。