Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lisez 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 267 766 caractères · 530 écrans
……拙者がいただくでござりましょう」嘉門は腕を伸ばしたが、盃を口へまで持って来ると、キューッと一息に飲み干した。
「古いいい草だが甘露甘露で。これさえ飲んでおりますれば、不平も自棄も起こりませぬて。……では今度は次郎冠者殿へ、お相伴を願うでござりましょう」こういうと嘉門は盃の手を、黒塗りの膳の右側のほうへ、さも恭しく差し出したが、「お飲みくだされ、お飲みくだされ遠慮はいらない次郎冠者殿、器用にお飲みくださりませ」――で、盃を畳の上へ置いた。
しかしもちろんその方角にも、次郎冠者殿がいないばかりか、誰一人としていないのであった。盃には酒が満ちたままである。
「これはこれは呆れた話だ」嘉門はまたもや毒吐き出した。
「次郎冠者殿までが拙者を嫌ってお相伴をしてくださらないそうな。なんと申してよろしいやら、薄情な話でござりますなあ。人間が一度落ち目になると、寄ってたかって周囲の者が、さいなむようでございますなあ。……さいなみたければさいなむがよろしい、嘉門は少しもビクツキません。それにさ、俺は名人だよ!」大きく両眼を見開いたが自負と自信とに満ちた光が、その眼の中に輝いて見えた。