Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lisez 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 267 766 caractères · 530 écrans
と、拍子木の音がしたが、非常を警めているのでもあろう。丸太町あたりと思われる辺から、人をとがめる犬の吠え声が、猛々しくひとしきり聞こえて来たが、拍子木の音の遠のいたころに、これも吠え止めてひっそりとなった。
一軒のお長屋の土塀を越して、白木蓮の花が空に向かって、馨ばしい香いを吐いている。
くもるとも
なにかうらみん
つき今宵
はれを待つべき
みにしあらねば
紅色のかった振り袖を着て、髪を島田に取り上げている、まだ十八、九の年ごろの娘が、一軒一軒お長屋の土塀へ、楽書きをして行く文字といえば、このような一首の和歌なのであった。
京都所司代の役目といえば、禁闕を守衛し、官用を弁理し、京都、奈良、伏見の町奉行を管理し、また訴訟を聴断し、兼ねて寺社の事を総掌する、威権赫々たる役目であって、この時代の所司代は阿部伊予守で、世人に恐れはばかられていた。したがってこれに仕えている、小身者の番士なども、主人の威光を笠に着て、威張り散らしたものであった。
そういう番士のお長屋の土塀へ、若い女の身空をもって、いかに人目がないとはいえ、楽書きを書いて行こうとは、白痴でなければ狂人でなければならない。