Classiques japonais avec furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lisez 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) de 小酒井 不木 (こざかいふぼく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 140 caractères · 396 écrans
一度刑務所へはいった経験のあるものは、警官を本能的に恐怖するものであるから別に不思議はないというものの、この場合にはそうばかり説明し捨てることが出来ない。というのは、先刻訊問の際、鬼頭は平岡の袖に血がついて居たことを聞いてどぎまぎしながら、うっかり「殺されたのはどんな女ですか?」と言ってしまった。殺人事件の記事は朝刊には差止めてあって、今日の夕刊にはじめてあらわれたのであるから、朝井刑事に訊かない限り知って居る筈はない。しかも警部は平素この点について部下を厳重に戒めてあるから朝井刑事のいったように、鬼頭には何も話さなかった筈である。して見ると鬼頭は殺されたのが女であると知って居たことになる。従って、鬼頭もこの事件に無関係だとは断言することが出来ない。
短刀の出所に関して取り調べはさせてあるけれども、その方面からは何の報告もない。それ故、霧原警部は朝井刑事に行わせた再度の家宅捜索の結果を、唯一のたよりとして、心待ちに待ち続けた。
午後六時ごろ、朝井刑事は帰って来た。その顔にはうれしさが溢れて居たので、警部は早くもよい手がかりの得られたことを見て取った。