Classiques japonais avec furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lisez 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) de 小酒井 不木 (こざかいふぼく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 140 caractères · 396 écrans
「…………」
「いや君の当惑するのも無理はない。この事件はもっともっと研究して見なければならぬ」
「いっそ、ツノダという言葉を平岡にきかせて、その反応を見たらどうでしょうか」
「それはまだ早過ぎるよ。それよりもこれから、平岡と鬼頭とを逢わせて見ようと思う」
「然しそうすれば、愈々二人は口を噤むように、しめし合いはせないでしょうか」
「さあ、其処だて。二人は逢ってどんな会話をするかをきいて見たいのだ」
朝井刑事は早くも霧原警部の意中を覚った。警部の室と、その隣りの応接室の境の壁は特別の構造になって居て、壁の前にある一点に立つと応接室で行われる会話はすべてこちらの耳にはいるばかりでなく、応接室にかけてある総監の油絵の肖像は、その眼の瞳が切り抜かれてあって、こちらの室からその瞳に眼をあてると、応接室の人の挙動が悉くわかるようになって居るので、霧原警部は平岡と鬼頭を対面させて、その挙動、会話から二人の秘密を知ろうとするにちがいなかった。
夕暮が迫って来て、そうした観察をするには頗る好都合の時期となった。朝井刑事は警部の命によって、先ず鬼頭を応接室に導かしめた。それから合図によって平岡を連れ入れさせることにし、朝井刑事が肖像画の後ろから覗き、警部が会話をきく役になった。