Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

Lisez 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) de 小酒井 不木 (こざかいふぼく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 140 caractères · 396 écrans

Aozora Bunko

どうして、何の血がこぼれたのであろう? 人々は不審がったが、誰も怖がって天井裏へ検査に行こうといい出すものはなかった。

意外な出来事のために極度に緊張した良雄は、人々の臆病なのに憤慨して、自分で天井裏を探険しようといい出した。

「なーに、猫が鼠をたべた血なんだよ」こういって彼は梯子を取り寄せて隅の方の天井板をはずし、蝋燭を片手に天井へはいって行った。

人々は良雄の歩く音を聞いた。と間もなく、ウーンという物凄いうなり声が聞えて、どさりとたおれるような物音が聞えた。

「若旦那!」

「良雄さま!」人々は口々に叫んだが返事がない。

男も女も極度に恐怖して顔を見合せた。

一分、二分、三分。

相変らず天井からは何の音沙汰もない。と、再び数滴の血が同じ場所から畳の上へポタポタ落ちた。

良雄の母は狂気のように泣いて、人々に天井へ上って検査して来るよう頼んだ。人々ももはや躊躇すべき時機でないので、母家の方から出入りの若者を三人呼び寄せて天井へ上らせた。

三人のものが天井へ上って蝋燭の灯によってながめた光景は実に戦慄すべきものであった。その三人のものは、今でも、あの時のことを思うと背筋が寒くなるといって居る。