Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

Lisez 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) de 小酒井 不木 (こざかいふぼく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 140 caractères · 396 écrans

Aozora Bunko

即ち今、時計硝子の中へ十プロセントの硫酸を入れ、これに極少量の重クロム酸加里を加え、その中に水銀の球滴を入れて、それから一本の鉄の針を持って来て、軽く其水銀球の表面に触れますと、忽ちその球は、蛙の心臓のように動き出して、小さくなり大きくなり、所謂収縮、拡張に比すべき律動性の運動を迅速に行うのであります。

さて然らば、どういう訳で水銀球が、このように生物のような運動をするかと申しますと、すべて液体は、外物と触れて居るその境界面に一種の力をあらわすもので、通常これを表面張力と申して居ります。液体の内部では、凡ての分子が上下左右前後から、同じ力で牽かれて居りますけれど、液の表面におきましては、其処にある分子は、裏側からは液体の分子によって牽かれ、外側からはその触れて居る物質の分子によって牽かれます。水の上に油を滴らすとき、油が水の上に拡がるのは、水の表面張力が油のそれよりも大きいからです。又水銀を水の中に滴らすと水銀が球形を呈して居るのは、水銀の表面張力が水のそれよりも大きいからです。そこで今仮りに、その水が水銀に接して居る一部分の張力を水銀よりも強からしめるか、あるいはその反対に水銀の張力を減少せしめたならば、弱い部分は強い部分に較べて縮むことが少く、水銀球は歪みます。