Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

Lisez 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) de 小酒井 不木 (こざかいふぼく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 140 caractères · 396 écrans

Aozora Bunko

このことについて鯉坂君は、随分長い間、その頭脳をしぼって工夫に工夫をかさねましたが、とうとうその研究は未完成に終りました。

一たい赤血球の一粒一粒の目方をはかって、それが学問上どんな意義があるかと、読者諸君も定めし不審をいだかれるでありましょう。然し、鯉坂君は、学問は「学問のための学問」であっても決して差支ないという主義を持って居りますから、鯉坂君にたずねても、赤血球の目方を量ることの意義などは説明してくれないと思います。

嘗て彼は、立小便の際の小便の描く曲線を研究し、双曲線であったか抛物線であったか、とにかく、数学的に立派に研究をしとげましたが、そのときも小便の曲線を研究することが、学問上どんな意義があるかということを決して説明はしませんでした。小便の曲線を研究するということそれ自身に鯉坂君は満足したのであります。

ある時はまた、涙の頬を伝って流れ落ちる速度を研究し、立派にその研究を仕上げました。そうして、女子の涙が頬を伝う速度は、男子のそれよりも大きく、従って女子の涙は、男子の涙よりも粘稠度が少いというような結論に到達したのであります。尤も、女子が白粉をつけて居るときには、速度は少くなり、而もそれは一定の係数を乗ずればよいのであって、その係数が、「御園おしろい」