Classiques japonais avec furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lisez 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) de 小酒井 不木 (こざかいふぼく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 140 caractères · 396 écrans
知った家で人殺しをするということは、あまり気持がよくないだろうと思ったからである。京助はもとよりこれに就ても不審を抱かなかった。そうして雪白の布のかかって居るテーブルに着いて、ビーフステーキを食べた。京助が手を洗いに行った間に静也がすり替えて置いた焼塩の罎を、京助は極めて自然にとりあげて牛肉の上に、而も大量にふりかけた。そうしていかにも美味しそうに食べた。二片三片食べたとき、京助は腹の痛そうな顔をして眉をしかめたので、静也ははっと思ったが、然しその後は何ともなく、食事は無事に済んだ。食事が済むと二人は早速勘定を払って立ち上った。その時、静也は京助に気附かれずに、再び、もとの罎とすり替えた。ところが、戸外へ出ると程なく、京助は前こごみになって立ちどまり苦痛の表情をしたので、静也は、京助にすすめて、其処に立たせ、街角へ走ってタクシーをよび、京助を家に帰らせたのである。
京助と別れて下宿に戻った静也は、可なり興奮し、そうして、意外に疲労して居ることを感じた。レストオランで京助の一挙一動を緊張してながめて居たときは、全身の筋肉がぶるぶる顫えた。そうして心臓が不規則に搏ち出したような気がした。