Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

Lisez 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) de 小酒井 不木 (こざかいふぼく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 140 caractères · 396 écrans

Aozora Bunko

どうか、患者さんを大切にしてあげてくれ」

こう言って、大切な証拠のレンズを内ポケットに収め、康雄はお豊に別れを告げて槙林の間を抜け大平氏宅の裏庭に戻った。そうして庭石づたいに、座敷に向って歩きながら、一昨夜、疑問の老人(それはやはり紺野老人にちがいないが)が、眼鏡の玉を捜して居た光景を想像した。

再び座敷にかえって血に染った畳を一瞥し、やがて康雄は、いそいそと大平氏宅を出た。

が、街へ出て見ると、さて康雄は、どこへ行ってよいかに迷った。普通の探偵ならば、当然、古泉堂の紺野老人をたずねるのが順序である。けれども若し紺野老人が真犯人であったならば、其処に甚だ気まずい光景が出現する。それに自分は、××署長の好意によって、この事件の捜査に従事することは許されて居ても、犯人を逮捕する権利は与えられて居ない。自分が紺野老人をたずねて、眼鏡の玉を拾った話でも為ようものなら、却って紺野老人を警戒させ、或は紺野老人に逐電させるような結果を惹き起さぬとも限らない。

大平氏宅の前に立ちどまって腕組みをしながら考えて居た康雄は、ふと、一昨夜、其の場で謎の女に抱きつかれたことを思い出した。