Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

Lisez 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) de 小酒井 不木 (こざかいふぼく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 140 caractères · 396 écrans

Aozora Bunko

私の精神はもう滅茶滅茶に掻き乱され、前後の考もなく戸外へ走り出ましたが、そこへ運よくもあなたが通りかかって下さって、私を救って下さったので御座います」

はじめてきく女の素性と一昨夜の出来ごとに、康雄はすっかりその方へ精神を奪われて居たが、この時、我にかえって言った。

「いや、よく話して下さいました。ではこれからは歌代さんと呼ばして下さい。それであなたは古泉堂のことをどうして御承知なのですか」

「それは小針の家で、大平さんが電話をかけに出かけなさった留守中、ふとあたりを見ますと、机の上に和本の古いのが二三冊置かれてありましたので、何気なくそれを手に取って開いて見ますと、中に、紅い短冊形の紙がはさまれ、それに、『古書売買、古泉堂』と書かれてありました。それが、はっきり私の頭にきざみつけられたので御座います」

「それは何という書物でしたか」

「題は忘れましたが、人情本らしい体裁で御座いました」

「不思議ですねえ、こんどの事件は古泉堂の古書とだいぶ因縁を持って居ますねえ。それにしても、どうして古泉堂の古書がそこにあったのでしょうか」

こういって、康雄は考えはじめた。