Classiques japonais avec furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lisez 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) de 小酒井 不木 (こざかいふぼく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 140 caractères · 396 écrans
と紺野老人は言った。平素他人に向って、ぶっきら棒な挨拶をする老人も、今は丁寧な口調であった。「実はあそこの梁に紐をかけて縊死を遂げて居りましたが、あまりに見にくいので、そのままお届けも致さないで、下して寝かせました。お恥かしい話で御座いますが、娘は大平さんの寵愛を受けて、世間には秘密にこの家に御厄介になって居りました。ところが、先日どうした訳か帰されて来ました。その理由をきいても娘は一こう話しもせず、非常に悲しむと同時に大へん大平さんを恨んで居りました。そのためぶらぶら病を引き起し、寝たり起きたり致して居りましたので、私も気になりますから、この間の晩大平さんの御宅をたずねて理由をきいて見ますと、ある女と正式に結婚することになったからというような御話で御座いました。
一昨夜、戸針さんがおいで下さった時、娘は風呂へ行くと云って出て行きました。ところが一時間過ぎても帰って来ません。そこで私は心配になって風呂屋に行ってきいて見ますと、娘は来なかったとの事、さては変な気でも起しはしないかと、この家をたずねて来ますと、誰も居る様子がありません。彼此するうち十二時近くになりましたが、若しやと思って大平さんの御宅の前まで行くと、入口があいて居るのが見えました。