Classiques japonais avec furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lisez 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) de 小酒井 不木 (こざかいふぼく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 140 caractères · 396 écrans
それから私は三日に亘って彼女の死体を切断し、風呂場の竈で焼き払った。夜になると何処からともなく犬が集まって来ては頻りに吠えたが、幸にして私が死体を片づけてしまう迄は誰にも見とがめられずに済んだ。私は竈の中の灰までも掻き集めて、それを裏の畑にすっかりばらまいてしまい、畳や風呂桶は幾度も幾度も雑巾をかけて、今はもう誰が取り調べに来ても大丈夫だと思った。
果して四日目の朝、三人の刑事がやって来て、令状を示し乍ら、家宅捜索をさせて貰いたいと言った。多分犬の吠えるのを、不審に思った隣人たちの噂でも聞伝えて、取り調べに来たのであろう。私は、自分ながら感心するほど沈着な態度で、三人を迎え入れ、同居して居た女は先日ぶらりと出かけたまま帰って来ない旨を告げた。刑事たちは、私に色々訊問するかと思いの外、いきなり風呂場の竈の灰を調べに行ったけれど、もとより証拠の見つかろう筈はなかった。そこで三人はにやにや笑って何事か囁き合い乍ら、今度は茶の間の畳の上を廓大鏡を出して、検査したが、やはり、彼等の努力は空に帰した。
突然、私は何だかこう胸を圧迫されるように感じた。いわば軽い嘔気のような気分が起ったので、私は彼等から眼を離して、火鉢の前に坐り、手持無沙汰に灰を掻きならした。