Classiques japonais avec furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lisez 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) de 小酒井 不木 (こざかいふぼく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 140 caractères · 396 écrans
実際には或はそのような恐怖は起こらないかも知れない。けれども、起こるであろうと想像されるのが厭で厭でならぬのだ。
だから、僕は縊死はやめた。又、創傷を造って死ぬのは痛いから厭だ。で、僕は毒薬死を選ぶことに決したのである。
しかし同じ毒薬でもはげしい症状を伴うものは好ましくない。又味の悪いのも面白くない。亜砒酸は無味であるけれども、劇烈な胃腸症状の起こるのは何としても不愉快である。又青酸は瞬間的に死を起こすといわれておるが延髄の呼吸中枢を冒して窒息を起こさせるのだから、僕にはやはり縊死と同じように恐ろしいのだ。で、結局は、愉快に眠って、眠ったまま、いつとはなしに死んで行ける催眠剤の種類が僕にとっては一ばん好都合なのである。
同じ催眠剤のうちでも、味の苦いのは御免だ。また多量に服用しなければならぬものも御断りしたい。が、それについて幸福なことは、こんど発見された――という催眠剤だ。これは君も知っているとおり、味もなければ臭気もなく、又極めて水に溶解し易く、かつ〇・二グラムという少量で二十貫の体重の人を殺すことが出来るのだ。それにこの新薬はその作用が、服用後一時間にあらわれ、しかも服用後五分間には血中に吸収されるのであるから、モルヒネやその他の薬剤とちがって、服用五分後に胃を洗滌しても、最早その人を救うことが